1. はじめに:農業の協同組織を理解する意義
私たちが毎日食べているお米や野菜、牛乳やお肉。これらを安定して手に入れるためには、生産者である農家だけでなく、それを支える仕組みもとても大切です。
日本の農業を支える重要な仕組みの一つが、JAグループ(農業協同組合)です。JAは農家が助け合うために作られた組織で、農業資材を安くそろえたり、できた農産物を出荷したりするのを手伝っています。
そして、JAを全国的にまとめて支えているのが全農。一方、北海道ではホクレンという特別な組織が重要な役割を担っています。この2つには似ているところもありますが、大きな違いもあります。
2. 全農とは何か?:全国を支える中核組織
● 全農の作られた背景と役割
全農(全国農業協同組合連合会)は、1972年に誕生した組織で、全国のJAをまとめ、農家を支える中心的な存在です。
主な役割は、農家が作った米や野菜、果物を集めて海外や大手スーパーに届けたり、また農業に必要な肥料や水稲、トラクターなどを一括購入して安定的に農家へ届けることです。
全農が持つネットワークの利点を活かし、農家が一人ではできない解決を提供しています。
3. ホクレンとは何か?:北海道に特化した独自組織
● ホクレンの成り立ちと主な役割
ホクレン(ホクレン農業協同組合連合会)は1919年に誕生した、北海道のJAをまとめる特別な組織です。
北海道は、農地面積が約114万haで、日本全体の約25%を占めている、日本最大の農業地域です。
そして北海道の農業専業家数は約29,000人(全国総数の約10%)。大規模な耕作や配送システムが必要なため、本州と同じやり方ではございません。
そこで、北海道の農産物をまとめて統括管理するために、ホクレンは農家に近い位置で各種サービスを提供しています。
4. 全農とホクレンの違いを整理する
● 上下関係ではなく、対等な関係
「ホクレンは全農の下部組織なの?」と聞かれることもありますが、実際にはそんなことはありません。
ホクレンは北海道の農家を総合的に支えるための組織で、全農とは相互に協力し同盟関係にあります。
他の県では、「地域JA → 県組合 → 全農」という階層構造が正解ですが、北海道は「地域JA → ホクレン」と直接つながります。
● 比較表:全農とホクレンの違い
項目 | 全農(全国) | ホクレン(北海道) |
---|---|---|
対象地域 | 日本全国 | 北海道のみ |
誕生年 | 1972年 | 1919年 |
主な役割 | 農産物の統括販売、農業資材の供給 | 北海道の農家支援、交通・配送の統括 |
特徴 | 全国系統の最中核組織 | 北海道特有の自立組織 |
関係 | 他県JA組合を統括 | 相互協力の対等関係 |
5. おわりに:役割分担と相互連携の重要性
全農とホクレンは、それぞれに役割は異なりますが、どちらも農家を支え、日本の食を支えるための重要な組織です。
たとえば、肥料や飼料の一括購入や、配送システムの共同利用、また海外輸出戦略の切り取りなどで、お互いに協力し合う場面もたくさんあります。
「違い」は「競合」ではなく、「補完関係」であることが重要です。北海道の農業にはホクレンという特化した支援体制が不可欠であり、それと同時に全国規模での連携や資材調達を行う全農の存在も欠かせません。
これからも、両者が互いに強みを生かし、農家を支え合うことで、日本の農業はより持続可能で安定したものになっていくでしょう。
コメント